睡眠の質が日中のパフォーマンスを決め、不眠が心身への悪影響をもたらすことから、眠り方を見直し、改善しようと実践している方が増えてきました。快眠がブームとなっていますが、少し行き過ぎた認識もあるように感じます。
理想の眠り方ができないと不健康になるという認識です。この「しなければ」というとらえ方では、余計に不眠を招いてしまいことでしょう。快眠法を実践する前に、睡眠についての認識を見直しましょう。
「正しく眠らなければ」が不眠を生む
理想の睡眠時間は8時間で、朝、日光をたっぷり浴びて、夜10時にはテレビやパソコン、スマホなどは控え、遅くても2時までには眠りに就き、日中は活動的に過すといった快眠サイクルに反論の余地はありません。ですが、何かと忙しい現代でこのような整った生活を送ることは簡単ではありません。
それなのに理想の睡眠ができなければ健康になれないと思ってしまう、この矛盾がさらなるネガティブを生み、いくら快眠法を実践しても不眠を改善できなくさせている原因かもしれません。まずは快眠のために理想の睡眠はこうでなければならないといった決めつけを取り除きましょう。そもそも私たちの体は案外融通が利くのです。
最も重要な睡眠だからこそ融通が利く
私たちは人生の3分の1眠っているといわれるほど、睡眠に多くの時間を使っています。これは、多く眠りすぎているという意味ではありません。人生の3分の1も使わなければならないほど睡眠は重要な時間だということです。
実は日中起きて活動をしているとき以上に体と脳、潜在意識と呼ばれる領域は活発に働いています。脳では入ってきた情報の整理、体では細胞の修復や免疫機能の促進、ホルモン分泌など、生存にかかわるあらゆる活動を睡眠中に行っているのです。
これほど重要な時間なのですから、正しく眠らなければという認識が生まれるのも無理はありません。ですが、これほど重要な時間だからこそ融通が利くようにもできているのが私たちの体なのです。逆に睡眠に対して融通が利かなければ、現代に生きる私たちはとっくにまともに動けないほど不健康で、至っては死んでしまっていることでしょう。
睡眠に対して楽観的になる
早い話が夜どうしても眠れなければ、日中うたた寝すればいいのです。睡眠に対して融通が利くとは、夜眠れなかった分をうたた寝でバランスを取ってくれるようにできているということです。休憩中に寝ても誰も文句は言いませんし、仮に授業中や仕事中に寝て怒られても、あなたの心身が疲弊してしまうよりはマシです。
椅子や床で寝て体が痛くなっても不眠で体を壊すよりはいいのです。もちろんうたた寝すれば、徹夜してもかまわないという意味ではありません。理想の睡眠が夜眠って朝起きるということに変わりはなく、眠れなければうたた寝でバランスをとればいいという、ある程度楽観的なとらえ方が大切だということです。睡眠に対して楽観的でいることが、睡眠の質を向上させ、理想の快眠サイクルへと導いてくれるということも覚えておきましょう。
まとめ~マインドフルネスが睡眠力を高める~
不眠の原因は、快眠アプリを使っていないことではありません。サプリメントを飲まないことでも、上質な布団やマットレスを使わないことでもありません。注意力の欠如です。集中力は活動中だけに必要な力ではないのです。活動に必要なのが能動的集中なら、睡眠に必要なのは受動的集中で「受動的集中力=睡眠力」といっても過言ではありません。
集中するとき、「眠らなければ健康になれない」といったネガティブ思考は邪魔になります。ですから、集中するために楽観的な思考が大切になるのです。私たちは無意識に周囲の状況に注意し、安全であると脳と体が確認することで、深い眠りに入ることができるのです。不眠の根本を改善するためには注意力を高めることが欠かせません。快眠とは、今この瞬間に意識を向け、あるがままを観察するというマインドフルネスの基本そのものなのです。
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